症例4 歯の神経の露出(露髄)

 1997年3月初診、13歳女性。左上6の虫歯の処置をしていたところ、歯の神経が露出(露髄)してしまった。子供永久歯の歯の神経は大きいことから形成時に露出し易い。ここで歯の神経をとる(抜髄)ことは、将来の歯の寿命に大きく関与することから、なるべく避けたい。そこで、水酸化カリシウム製剤であるカルビタールを貼付し、経過を観察することにした。約1年後の98年、もう1年大事をとって99年5月に、神経の露出面が硬組織によって被われていることを確認し、コンポジットレジン修復を施した。
 しかし、2002年5月に自発痛が生じ、残念ながら歯の神経を除去した。1999年の段階でもう大丈夫と思ったが、その考えが甘かったと言わざるを得ない。この症例以外にも同様な経験をしており、やはり歯の神経が露出しないような処置をするべきであると肝に銘じた。