症例2 通常抜歯と思われる歯を保存

 2013年9月再初診、69歳女性。左上1の歯が動き、違和感があるとのことで来院。歯周ポケットは10mmあ り、排膿していた。まず、歯周ポケット内のスケーリングを行い、炎症の消退を計った。歯周ポケット深化の原因は力の影響も考えられるため、対合歯、隣在歯と当てないようにし、暫く経過を観察した。力の影響が大きい場合は、患歯が延びて、下がってくる(自然的挺出)のが通常であるが、このケースはあまり挺出してこなかった。また歯の中の神経を除去するか悩んだが、電気を通した反応がなかったため、神経を除去した。
 2014年2月に、歯周外科処置を行った。唇側から左上2にかけての歯槽骨はスライドに示すようにかなり吸収していた。スライド下段は2018年12月の状態であるが、歯周ポケットも3mm以下であり、順調に経過している。なお、下段のデンタルX線写真は2017年11月時点であるが、歯槽骨の回復が見て取れる。