2012年4月初診、23歳の男性。左上1は10歳の時に転倒して折れた歯を戻したところ、その後およそ2年ごとに腫れを繰り返しているとのこと。最近歯の動揺が大きくなったので来院した。デンタルX線写真から炎症性の歯根吸収らしき像がみられた。通常であれば抜歯し、両側の健全歯を削ってブリッジを装着する症例だが、何とか左上1を保存したいと考えた。
2012年5月に根尖側の抜歯を試みた。何とか愛護的に抜去することができたので、歯肉より上に健康な歯質が得られるところまで挺出させた位置に再植、固定した。約1年間仮歯で経過観察を行い、特に問題がなかったので、2013年9月に硬質レジン前装冠を装着した。歯根が短いため動揺が生じ、ピーナッツ等の固い食品をとれないのが欠点であるが、患者さんは特に不満を訴えていない。